気がつけばギターを初めて20年以上になって、やっと自分のスタイルというものがわかり、より深くギターのことがわかるようになりました。

僕はそんなに指が回らず(イングウェイにはなれなかったw)、譜面を正確無比に辿るのが下手なギタリストでした。それは今でもそんなに変わらないけれど、それを弾く為に必要な練習、アレンジで躱す方法、音色で誤魔化す方法を知っているので対応できるようになっただけなんですが。ユーチューブへ行けば世界中の練習方がヒットするので技術の習得する為の情報は手に入れやすくなっています。僕の20代前半の頃は365日の330日くらいは東京中の楽器屋を巡りいろんなギターを試奏し(迷惑だが皆寛容だったのでいっぱい弾かせてくれた。おかげで若い感性に様々なギターの音や演奏感を覚えることが出来ました。当時の楽器屋の人ありがとう)、楽器屋の書籍コーナーの教則本を探し続けて情報を見つけるという事をしてました。当時知りたかった事を今ではいとも容易く見つけることが出来ます。テクニック的な達成は比較的容易い時代になっています。

しかし、テクニック的達成は容易いですが、自分が達成できるテクニックには限界があることがわかります。テクニックは身体的能力に左右される部分も多いので足が早い、遅いみたいな部分は多分にあります。特に早弾きや複雑なコードを押さえ続けたりするのは筋肉や、指の大きさが必要です。ギターは元々西洋人の楽器なので日本人の小さな非力な手では不利なところもあります。例えばPoliceのEvery Breath You Takeのアルペジオはとても原キーでアンディーサマーズと同じポジションで弾くのは辛いです。僕がやるならカポか変則チューニングで対応しますw でも、Policeの曲を練習曲にするのはとてもおすすめです。かっこいい曲で指のストレッチの訓練になる曲がたくさんあります。

何がなんでもイングウェイ・マルムスティーン(ちょっと古い?)みたいになりたいタイプの人は別として、自分のテクニック的限界が見えたら適当に散らばっていく感じがします。早弾きが下手でもちょっと洒落たコードを適当に散りばめるのに長けた人や、シンプルなのに何故かかっこいいパワーコードのバッキングが出来る人や音楽には適材適所にプレイヤーを受け入れる懐の広さがあります。

そして、プレイヤーとして成長してくると岐路に立たされます。いい演奏がしたいのか? うまい演奏がしたいのか? という事です。それはプレイヤーになるのかアーティストになるのかという選択に似ています。アーティストになるというのはアーティストとしてデビューするという意味ではなく、演奏に自分らしさや感性を表現しようとする事です。

それはどちらの道が優れているというわけでもなく、優秀なプレイヤーは音楽文化の土台を作る人達で、アーティストは音楽を進化させていく人たちです。仕事がクロスオーバーする事もありますが、彼らは似て非なる感性で作品作りに携わっています。

これからギターの音色についてお話しますが、こういう岐路に立っているギタリストはぜひ参考にしてもらいたく思います。

指がいくら回ってもスーパーギタリストにはなれません。ローリング・ストーンズ誌のギタリスト100人の上位に激テクギタリストはいません。毎回このランキングには偏りも感じますが、今だに彼らのような手法をとるギタリストや彼らからの影響を感じるギタリストが生まれてくる事からもあながちデタラメでもないと思います。一方うまいギタリストのレジェンド、スティーブルカサーですらランキングに入っていません。同じ譜面を渡したらキース・リチャーズとスティーブルカサーのどっちがうまく弾くなんて目視でわかるレベルでしょうw だからキースは半世紀もいい加減なド下手ギターを弾いている、と馬鹿にするギタリストを何人も知っています。それでは代わりにスティーブルカサーや今剛でもキースの代わり弾かせてみて(キースの手パクでもよい)、満員のウェンブリースタジアムを跳ねさせる事が出来るかというとおそらく無理でしょう。ロックギターの真髄とうまいギターは釈迦と坊さんくらいの差があります。なんでもマニアになると真実が見えにくくなるものなのです。

これには深い哲学的な要素やコンポーズの要素も絡んできますが、誰でも今日から取り組め、一番簡単に成果が出るのが音色についてです。

僕も昔メーザーハウスっていう専門学校にいた事があって、激テクな生徒をたくさん見てきました。入学時点でもう先生よりうまいんじゃない? みたいな凄腕のやつも中にはいて度肝を抜かれてました。さらに大学のサークルレベルでもプロレベルはたくさんいました。しかし、今誰一人かれらのプレイする姿を見る事はありません。人格的に脱落した人間も多いと思いますがw、人間的に普通だったやつもいます。まぁ、スタジオミュージシャンという職業が絶滅危惧種となった今では彼らに需要がないのは理解できます。

最近色んなプロアマ問わずユーチューバーの動画を見て参考にしてたりするのですが、開始3秒で切る動画があります。その判断基準がギターサウンドです。音色です。音色を聞けばそのプレイヤーがどのレベルにあるか秒を待たずわかります。アマチュアとプロ、底辺プロと一流プロ、プロとアーティスト、ここには歴然とした音色の差があります。しかし、その差に比べテクニックの差はありません。説明はアーティストは一概に下手です。その説明じゃわかんねーよ、って突っ込む教則ビデオを何本も見たことがあります。

音色にはその人の美意識やセンスが聞こえてきます。プロだから高価な楽器使ってるからいい音して当たり前と思うのは間違っています(クラシックは別として)。日本においてはトッププロよりアマチュアの方がお金持ちです。それにいいギタリストは貧乏時代のデビュー音源でも未成熟ながらいい音をさせてます。いいギタリストほどエフェクトボードもシンプルな気がします。そしてギターヒーローには一聴してわかる彼ら独特の個性に溢れたギターサウンドがあります。ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、キース・リチャーズ、サンタナ、ブライアン・メイ、デイヴィッド・ギルモア等。こういうランキングには入りませんが、イングウェイ・マルムスティーンが激テク群雄割拠のヘヴィメタル界でそれなりの地位を守り続けているのは、彼の独特のクセのつよいギターサウンドも一役を担っていると思います。

だから、逆を言ってしまえばギターをいい音で鳴らしさえすればテクニックで上回るギタリスト達をごぼう抜きすることが出来ます。

おそらくほとんどのギタリストが自分はいい音で弾いているつもりだと思います。しかし、プレイが良くてもギターの音色がいいと言われる人はプロ含めてほとんどいません。

では、具体的にいい音色を出すにはどうすればよいのか少しだけ解説していきましょう。

まず当然ですが楽曲にあわない音を使ってはいけません。ローリングストーンズの楽曲にクイーンのギターの音色は合わないでしょう。あえて違和感を狙う演出でも楽曲にミスマッチした音を出さない、これが美意識でありセンスです。しかし、まだ未熟なギタリストは自分が気に入った好きな音をどんな楽曲にも使いがちです。もし、バンドマスターやアレンジャーが明確なイメージを持っていればその音は違うと指摘してくれて気がつく事がありますが、そういう縁に恵まれない人も多いと思います。これは常にいい音楽といいギターサウンドを聞く事で何も考えず回避する事が出来ます。この事に限りませんが、普段からいい音楽を聞いて、よくない音楽を聞かないようにするというのは音楽家の基礎力をと格を養います。デレク・トラックスのデビュー当時のインタビューで同じ事を言っていたので実践しているアーティストも多いのではないでしょうか。僕も師匠に言われ一時期はJ-popは聞きませんでした。J-popはよくない音楽に出会う可能性が高く、感性が未完成の判断ができないうちは積極的に聞くのはやめてました。未熟な時はブルースにアイドルソングのフレーズを入れるなんてイモの境地みたいな事を平気でしてしまいます。それに聞くべき音楽と身につけるべき感性が山ほどあったのでそこに目を向けようという気にもなりませんでしたが。だから、僕の中の00年代のJ-popは今だにすっかり抜け落ちていますw まずは楽曲にあういい音色を選択できるよう、いい音楽を聞きましょう。

そして次に大事なのが楽器の事を理解するという事です。

もし、イメージした音が鈴なりの繊細な音ならレスポールをチョイスすべきではありませんし、妥協と嘘が混じった音がうまく行く事はほとんどありません。ごく稀に奇跡的な出会いをする事がありますが、ほとんどは徒労に終わります。この場合ストラトやテレキャスを第一に試してみるべきというのは多くの方がわかったのではないでしょうか? こういう感覚をより深く掘り下げ、多くの機材を実際触ってみてる事で楽器の理解が深まります。特にエレキギターの場合は機材の組み合わせは無限にあり、あのアーティストが使っていたからといってうまく自分のサウンドシステムとプレイにマッチするかは未知数です。エフェクトに関してはとにかく原理原則を理解する事です。そして自分の楽器を理解する事です。すると大体自分の楽器に合いそうな機材も想像がつきます。

さて次は、僕自身含め多くの日本人プレイヤーが陥っている悪癖なのですが、とにかくアンプに繋いで音を出す事です。

住宅環境で音を出せる人は少ないと思うのですが、せめてヘッドホンで出して練習して欲しいです。パソコンなどの小さめのスピーカーからDAWのシュミレーターを使ってやるのはあまりおすすめしません。多くのギタリストはつながずに素の音で練習していると思います。そうする事で何が一番よくないかというと大きな音を出す為に必要以上に強いピッキングでプレイする事になります。日本人ギタリストは総じてピッキングが強すぎる傾向があります。なにか強いピッキングがキチンとピッキングする事でそれが素晴らしい事のように思われている節があります。レッチリのCan't stopでも弾くんかって突っ込みたくなるくらいです。これは僕がソウルのカッティングを習得する時に気が付いた事ですが、ユーチューブで映像をみると屈強な黒人プレイヤーは本当に弦を撫でるくらい弱くピッキングしていたのです。しかも、オルタネイトですらなかったりする。黒人だから弱く弾いてるように見えて強く弾いてるなんて事はありません。教則本によくあるように手首のリストを使って、腕をギターのボディー幅くらいの振り幅にしていくらやっても感じが出なかったのですが、真似してみるといい感じでギターが鳴り出しその雰囲気を体得することが出来ました。クラプトンもキースもよく見るとピッキングはとても弱いです。実は弱くピッキングする方が綺麗に弦が振動するのでアンプでも綺麗に拾ってくれます。そして、ピッキングを強くすることで歪み具合も調整できるので多彩な表現を可能にします。アンプノリが良ければ芯のある強い音も出しやすいので歪みなども相性がよく実はラウドな音楽にも弱めのピッキングは合うのです。小さい音はアンプでVolを上げればいいんです。その為のMaster Volなんですから。イングウェイのピッキングは弱めなのはマニアの中ではそこそこ有名な話です。

結論としては、その楽器(エフェクト、アンプまで含めて)が一番綺麗に鳴る力加減を知るという事です。いい音が鳴れば必要以上に弾くことが要求されないギタリストになります。

まだまだ語り足りないですが長くなってきたので少し心意気の話をして終わりにしたいと思います。

それではトッププロとアーティストの違いはなんだ? という事です。トッププロは楽曲の音色を間違えないし、楽器をうまく鳴らす手段も知っている。

その違いは枠をはみ出す事、主張する事です。言い換えれば大クセです。

音楽界には今までのミュージシャンが培った成功した音が存在します。レスポールをマーシャルに突っ込んで生まれた音や、80、90’Sのフュージョンやポップスで流行ったコンプとコーラスのかかったカッティングなど雛形が存在します。そして現代にはそれらを詰め込んだKemperなどを代表とする高性能のデジタルモデリングアンプが存在し、結構流行ってます。少し前、うまいギタリストのソロ作品ライブに行って来たのですが、そのギタリストもこのKemperを使ってました。曲も悪くないし、ギターも上手いし人もいい。だけど、、

クセがないのよ。

なぜかクセがないと飽きてくる。熱狂はしない。クセとは何か? それは本人の思い込みの為間違いも含むという事です。正しい事しか出てこないとそれはいつしか予定調和になります。だから予定調和の集積であるデジタルモデリングアンプでクセを表現するのは向いていません。Kemperはプロがお仕事で使うにはとても便利なアンプだと思います。マルチエフェクターの究極系と言えるでしょう。お仕事にはクセはない方が重宝されます。クセが強いバックバンドはメインが耳に入らなくなって来ますよね。でも、今一世を風靡してますが僕は割高だと思いますw だからもし、表現者となるなら臆する事なくクセを表現できる楽器を探さなくてはいけません。同時にクセを生み出すのは普段の生活であり、クセにアクが混ざり込んではいけないので真摯に生活と音楽に向き合い続ける事です。そうすると千鳥のように大阪時代では考えられないくらい大化けし、東京で大スターになれるかもしれません。

最後に音色だけで群雄割拠の名だたるギタリストをごぼう抜きして評価を得たアルバムをご紹介します。

それはBostonのデビューアルバム、名曲『More Than a Feeling』で始まる『Boston』(幻想飛行)です。このアルバムを制作したTom ScholzはMIT在籍中の20代でギターを始めている為当時ギター歴数年です。プロのオーバーダブも含まれていますが、よく聞くとかなりシンプルなギターアレンジでいわゆる上手いギターではありません。使われているアコギもGuildだったり最高品質のものではありません。しかし、このアルバムは全世界で2000万枚売れ、当時最高のサウンドとの評価を得ました。名だたる凄腕のギタリストがひしめいていた当時でギタリストとして傑出することが難しかったのは想像に容易いです。また当時はより洗練されたテクニカルなプレイが全盛となる80’Sに向かう年代でテクニック系ギタリストが出始めた頃でもあります。それを音色で時代を覆したという意味でもとても意義深く、シンプルにいい曲が詰まった名盤です。是非音色にも注意して聞いてみてください。

より具体的なセッティングなどの話はまたいつかの機会にしようと思っていますが、こういうギターサウンドに関する秘匿を教える講座、サウンドセンス・ギターレッスン(仮称)をビジネスのページに追加しました。このレッスンでは音色を含めたギター奏法をメインに教えていきます。エフェクトの知識や楽器の知識を習得しながら必要なテクニックを身につけていきます。自分のサウンドメイクに悩んでいる人や、クセを伸ばしたい人にもおすすめです。また、ビギナーの方も音色でテクニックを補いながら上達できるので向いていると思います。正直、早弾きや譜面を正確に弾きたい人、ブルースセッションをしたい人は他の先生に習った方が上手いですしお得です。是非お気軽にお問い合わせください。

 

読んでくれてありがとう。

僕はこう思う。

Taiyo Haze

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