エレキギター(ベース)の理想の音を求めて一体どれだけの時間を費やしたのか、考えるだけでもぞっとする時があります。

夜ギター弾いててふとジャックのグラつきが気になってせっかくだから気になってた配線材に変えてみよう、と初めて気がついたら朝になってた、なんて事を今だに繰り返しています。それが確実に成果出ればいいのですが、逆効果だったり最終的に部品壊してふて寝するなんて事も多々あります。しかし、失敗の数だけ自分の音への深度が上がっているので、実はそこに成功も失敗もなかったと思います。そして、いつしかエフェクターの原理や正しい接続の知識を身につけ、入り口から出口までの音をある程度コントロールすることが出来るようになりました。専門的に学ぶのは時間も労力も大変なことですし、興味もないかも知れません。全てのプレイヤーにこの分野の深度を求めるのは無理な話だというはもっともなことです。頭空っぽの方が夢詰め込める、って誰かが言ってた気もします。逆に改造マニアには音楽やれよ、って言いたくなこともありますw

ですので、このブログを通して音作りをする為にプレイヤーが最低限理解すべき、知ってたら参考になる知識を深くなりすぎない程度にお伝えしたいと思います。エンジニアの方は専門書へGoToです。

さて、音を作り始める前にプレイヤーの皆さんにお伝えすべき大前提があります。

たくさん良質な音楽を聞きましょう。いい音楽をいい音で聞くというのは音楽家のファンダメンタル(基礎)です。

できれば昔の音楽ならレコードで聞くのをお勧めしますが、せめてWAVEデータを聞いてください。マーシャルならマーシャルの音量くらいで聞くのが理想ですが、ある程度の音量で再生してください。ある程度経験値のある人なら自然と逆算できますが、その楽器が出す空気振動が人の体でどう感じられるのかといのは重要な問題だったりします。音量はその楽器の周波数にも影響します。そして、バリバリのハードロッカーだという人だとしてもせめてあらゆるジャンルの大家と言われる人の音は聞くべきです。おそらく好きだという音は好きなアーティストがすでに作った音だと思うので、そこを目指すとその劣化版にしかなりません。

いい音に対するファンダメンタルがなければなんの為の音作りかわからなくなってしまいます。オーディオマニアやギターマニアの中にはいい音の為のいい音を作ろうとしている人もいます。しかし、世の中理屈だけでうまくいった試しがありません。

いい音というのは、いい音楽の為の音です。

このことを頭において音作りの出発点に立ちましょう。

Hi-zは、東が西武で西東武、みたいなもの

ある程度の歴のあるアマチュアのプレイヤーの足元を見るといっぱいこだわりのペダルが並んでいます。そして、ある程度時がたつとそのペダルが最新のデジタルマルチエフェクターに変わり、そしてまた時が過ぎるとコンプとオーバードライブだけになって「やっぱアンプ直結が気持ちいい」と言ってたりして、また時間が経つと足元にいっぱいこだわりのペダルが並んで・・・。こんな事を繰り返すのがギタリストの性なんだよねぇ、なんて話は良く聞きます。しかし、いい音色のギタリストの機材がそこまで大きく変化する事はありません。もちろん、彼らも日々環境に適応するために少しづつ変化しますが、イチローが大谷翔平になるような劇的変化はありません。それは自分に必要ないい音が存在しないというのも理由なのですが、Hi-zに翻弄されているというのも大きな理由です。

Hi-zって何? それもそうだ。

Hi-zとはハイインピーダンスの事です。インピーダンスの単位がzなのでHi-zと略されます。オーディオインターフェースやミキサー、ボリュームペダル等でも見かける言葉だと思います。ギタリストだとざっくりギター挿すところと理解しているかもしれません。

インピーダンスはサウンドを作る上でとても重要なのですが、このインピーダンスの概念がとてもわかりにくい。専門書やネットを調べるとインピーダンスは「電気を流れにくくする力」なんて風に申し訳なさそうに書いています。ロー出しハイ受けなんて言葉も聞いた事があるかも知れません。この説明もとてもわかりにくい。なぜわかりにくいかというと、インピーダンスが概念的であって感覚的なところと反対という説明が多いからです。それは上京したての僕が池袋の西武パルコに行こうとして西口出口を出て、メトロポリタンが西武だと勘違いしてビルに入ったけどなんか違う感満載で、中から連絡通路があるのかもと思って東武に迷い込み、西武の東館が東武だとスーパーポジティブシンキングで西館への連絡通路を探すという状態にとても似ています。これは西武の西という言葉の概念の影響です。

Hi-zは太いホースで勢いよく水が流れてくる、なんて説明がよく書かれています。この説明だとHi-zの音はさぞデカイ音で鳴るのだろうイメージしてしまいますが、実際は微弱電流(レベルが低い)です。プレイヤーにとって重要なのはデカイか小さいか、クリアかこもってるか、の直感的なものです。Hi-zの音の代表といえばギター本体からののアウトプットです。

山少女のように小さく繊細なHi-z

プレイヤーがエレキギターの弦を弾いた時、音によって磁石とコイルでできたピックアップの磁界が揺れ、そのわずかな電磁誘導の電流がボリュームポットやセレクタースイッチを通ってアウトプットジャックに出てきます。この説明を聞いたらこの音は小さくて微妙なものだろうな、と想像がつきやすいと思います。何にも接続してないストラトのアウトプットジャックを噛んで感電したギタリストはいません。

つまり、Hi-zは小さくて弱い繊細な音なのです。そんな小さくて弱い繊細な音なのだから外からのノイズにも弱いと言えば、太いホースの説明より理解しやすいのではないでしょうか。どこにもHiでZな要素がない電流がこのHi-zの事です(この表現は正しくないけどプレイヤーにはあまり関係ない)。まさに東に西武で西、東武です。

ハムバッカーのギターや、ベースになるとさらにHi-zになります。パッシブタイプのエレキギターを使う限り、プレイヤーが弾いた音は必ずこの弱くて繊細なHi-zの電流に変換されます。だからこのHi-zの領域が大事なのです。すべての音作りはHi-zから始まります。

この領域の音は弱く繊細でパーツひとつで音が大きく変わるほどデリケートです。ヨーロッパの山で暮らす少女Hi-zのように優しく繊細なのでここの音には注意が必要です。これにノイズが乗るのならわかりやすいのですが、知らぬ間にハイが落ちたり音の解像度が落ちていたりします。それをプレイヤーは音の劣化とざっくり言っていますが、その原因は粗悪品の部品やシールドを使ったり、Hi-zのままエフェクターをバイパスし続けたり、インピーダンスのマッチングを間違っていたりする事です。アンプ直結だと劣化が少ないのでいい音がする、というのは当然です。しかし、そう感じるという事は逆に普段Hi-zに翻弄されているという事です。

ではHi-zに翻弄されないにはどうすればよいのか? それこそが大事です。

それに対抗する為、僕の中では2つの方法と2つの指針があります。

方法1 ギターの入り口でアクティブタイプのピックアップをつける。

方法2 ギター出力から1段目でバッファーアンプ等でレベルをあげる。

方針1 Hi-z領域の部品やパーツ、機材はできるだけよいものを使う。

方針2 接続のマッチングをきっちりやり、Hi-zの間の機材、配線は最短距離にする。

こんなところです。

方法1はもっとも古典的な解決方法です。80年代後半から90年代にかけて流行ったEMGなどに代表されるアクティブピックアップを使用する方法です。しかし、ギターの内部に電池駆動のプリアンプを搭載しているので、アクティブくさく癖づいてしまうので90年代くらいに一世を風靡したあとギタリストは避ける傾向にあります。一時期はPink Floydのデイヴィッド・ギルモアやクラプトンですら使ってましたね。現在はメタルやミクスチャーなどローノイズの音を歪ませまくって使いたい、癖づいたアクティブのクリーントーンを逆に味とするジャンルの人が好んで使っているように思います。電池交換の手間がやっぱりギタリストには向いてないかなと思います。ベーシストはアクティブは当たり前の選択ですね。ひとつの個性としては一本あってもいいかなと思いますが、僕は今持ってないです。

方法2は最近流行っている方法です。バアッファーアンプで他の機材とマッチングするやり方です。Pete Cornishのバッファーアンプが有名になった元祖かな、と思います。先のデイヴィッド・ギルモアやジミー・ペイジのペダルを作っていたのがPete Cornishです。本来はエフェクトをバイパスにした時に音が劣化するのが嫌なので、バイパス音が入り口と出口で変わらないようにする為に作られました。ギルモアのペダルボードなどはBossのエフェクター等の中身だけ抜き取り、可能な限り余計な回路を取り、直結でワイヤリングし、バイパスの全てにバッファーアンプ(真空管)が搭載されています。よく見ると結構巨大です。値段にすると数千万らしいですがw しかし、見事に方法2と方針1、2を踏襲しています。

ふつうのプレイヤーはギルモアみたいなエフェクトボードは組めないので、1段目にバッファーアンプを入れたり、音痩せが気になる所に使っているのではないかと思います。ちなみに僕はバッファーアンプは使わずに、1段目に常時ゆるーくかけるようのコンプレッサーをかましています。ギター専用のコンプだと癖づいてしまうのでこの使い方は難しいですが、コンプだろうがなんだろうが劣化する前にレベルをあげてLow-x転送が目的なのでこれで用を足しますし、最初のコンプをうまく使えばコンプをひとつ省略できるので方針2にも適います。逆に避けるべきは、ギターのアウトプットをボリュームペダルに接続し、さらにそのままセレクターとワウなどのペダルに接続するやり方です。これは顕著に音が失われていきます。

方針1は少しマニアックな世界なのですが、いい配線材、パーツを使う事によって出来るだけピュアなHi-zを送りだそうという事です。弱く繊細なHi-zの領域はパーツひとつで音が劇的に変わります。しかし、これには組み合わせと相性と目指す音によっていい音が変わってくるので絶対的なものはありません。パーツの交換などしている時もどこかに癖の強い劣悪なパーツが入っていたり、アンプが良くないと変化がよくわかりません。とてもシビアな環境と手間が必要なのでプレイヤーにはおすすめできません。だから、プレイヤーの人にはシールドとボリュームペダルくらいはいいのを買うようにおすすめします。高いシールドは意図をもって製作されているのでその意図から外れると変な癖づいた音になるので注意が必要です。

方針2の配線を最短距離にする利点は、説明するまでもなくすでに理解できているのではないでしょうか。弱くて繊細なHi-zに長い距離走らせるのは酷な話です。さて、マッチングの話なんですが先ににも少し触れましたがロー出しハイ受けが基本です。まぁ、こんな事言われても一瞬殺意が湧くだけですよね。これも原因は東に西武で西東武です。ロー出しのロー(Low-z)は例えばシンセや音楽再生デッキのすでにレベルの高い音(デカい)です。Hi-zはギターから出たままの音のレベルなので弱く繊細なレベル低い音(小さい)です。

なのでデカ音用のLow-zの穴に、小さいHi-zを挿入してもガバガバになってしまいます。大人用の穴に子供のイチモツを挿入してる状態、これがハイ出しロー受けと呼ばれる良くない接続方法です。ガバガバという事はどこかが当たらないので何かが抜け落ちて気持ちよくありません。それが音の場合高音から抜け落ちるのでハイ落ちと呼ばれる状態になります。

だから、ヤるならロー出しハイ受けが基本というのは理解していただけると思います。大きな音のLow-zを小さい音用穴のHi-zに突っ込むのはキツキツですが全て入るので問題はありません。しかし、あまりに差があると入りきらずに歪んだり、最悪機材を壊す事になります。やはり適切な付き合いが大切です。だから可能な限りきっちりインピーダンスが合うようにしてあげる事です。きっちり合うとこれが相性の良さを感じストレスなく気持ちいい音が鳴ります。

プレイヤーは音作りの際、常にどの領域がHi-zかを意識しなければ大事な音を知らぬ間に失う事になりますのでHi-zはとても重要です。

Hi-zとはレベルの小さな繊細な音の事です。それさえ分かれば西武の位置を覚えたようなもので、もう東口と西口関係なくシンプルに西武にたどり着きます。インピーダンスのハイ、ローと言われて頭が混乱したら、東に西武で西東武です。これで音作りのスタートダッシュを決めたようなものなので、余計な道を逡巡したり、道を見失う事なく自分の進むべきサウンドを選択できるようになるでしょう。

デジタルエフェクターという選択も多いと思いますがそれはまた、デジタルとアナログの話をする機会があれば触れたいと思います。

 

読んでくれてありがとう。

僕はこう思う。

Taiyo Haze

 

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