前回までにルーツ音楽とUKロックについてお話ししました。さて今回はアメリカのロックについてです。長くなりそうなので前後編の二回にわたってお話ししようと思います。

ロックはその土地の音楽と融合して発展してきたと少し触れました。前回のUKのところでもロンドンとアイルランド方面では雰囲気が違うという話も入れようかと思いましたが、解説があまりにも長くなりそうなのであえて省きました。BeatlesとU2を同じUKロックとして一括りにするには多少帯が短いかなぁ、と思いますがロンドンのバンドもアイルランドフォークのような楽曲を一、二曲は持ってたりするのでUKロックを極めたい人以外はそこまで気にすることではないと思います。

しかし、アメリカのロックはそう言うわけにはいきません。やはり国土が途方もなく広いせいか地方、都市によって全く音の傾向が違ってきますのでその地方独特の匂いを音楽から感じ取らなければいけません。

ロックが生まれ発展した時期は今のように簡単に情報を手にいれる事が出来ませんでしたし、ネット通販もありません。必要な情報も機材も限られた環境の中で彼らなりに楽しみロックを深めていきました。これがロック黎明期の地域性とクセをより強いものとしました。余談ですがインターネットが誕生したドットコムバブル以降の音楽は、どの国の音楽も癖が薄れていきBTSもエドシーランも地域性を感じる癖のようなものはほとんどありません。まだHipHopはHipHopの香りがあるかなぁ、と思いますが。

アメリカの国土

アメリカのロックを語る前に少しアメリカの地理についてお勉強しておきましょう。詳しい事はWikiを見てください。東西南北に巨大な国土に持ち熱帯から冷帯までのあらゆる気候を持ちます。中央部は乾燥し、海に面した東海岸、西海岸は比較的暖かく湿潤です。しかし、比較的湿潤と言っても日本のようなイメージではありません。特に西海岸にあるカリフォルニアあたりではほとんど雨は降りません。中部、南部は暑く乾燥し砂漠、映画でたまに見るサボテンの生えた荒野をバイクで走っているようなイメージ。東海岸は比較的雨は降りますがフロリダのような南部は熱帯、ニューヨーク、ボストンのような北に行くにつれてものすごく寒くなっていきます。さらには番外編でハワイもアメリカですので全く違う気候があります。

地理の授業ではないので詳しい話は割愛しますが気候、風土によって特色が出るというのは覚えておいてください。

都市と田舎

気候と共に音楽の雰囲気に大きな影響を与えるのが都市部の音楽か地方の田舎で作られた音楽なのか、という事です。これはアメリカに限らず世界中で言える事ですが都市部の音楽はより洗練されていて、田舎の音楽は牧歌的なゆったりとした雰囲気があります。アメリカでいちばんの都会と言えばニューヨーク、ロサンゼルス、そして日本では馴染みが少ないかもしれませんがシカゴです。

さてここでよく言われる洗練されたサウンドってどういう事? という事に軽く触れておきたいと思います。意外とこれに明確に答えれらる人は少ないのではないでしょうか。しかし、なんとなく言っている意味がわかる人は多いかと思います。詳しく説明すると記事が長くなるので単刀直入でいうとアーバンなサウンドというのは、アレンジなどの音楽的な意味でも、レコーディングに関するエンジニアリング的な意味でも色んな人の手が加えられコントロールされたもの、という事です。リスナーには安定した安心感と大人な印象を与える一方、予定調和な、退屈な、ビジネスライクな印象を与えます。田舎や、関わる人の少ないバンドの音源などでも十分プロクオリティー、製品として十二分な品質のものもたくさんありますが、関わる人間が少ない分個性が残りやすく、荒削りで予想外の刺激がある一方、チープで他の洗練された音源に混ぜると聞きにくい印象を与える事もあります。

東海岸

さてここからは東地区から特色を見ていきましょう。

〜70’s

東海岸は何と言ってもニューヨークがあるのでロックはニューヨークの影響を無視する事は出来ません。特に70’sくらいまではフロリダや南部の地域にこれといったバンドを見つける事も出来ません。70’sくらいまではロックというよりヒット曲の中心地、という雰囲気が強いです。その分なかなかロックが根付かなかった都市と言われています。代わりにボストン(マサチューセッツ州)やナッシュビル(テネシー州、東海岸というと微妙ですが)にロックが発達しました。やっぱりネクタイ締めてる人間が多いところではロックは発達しないのかなぁ、とか思ったりします。

ボストンにはトム・シュルツ率いるBOSTONがあります。BOSTONの大ヒットによりそれに続くバンドが数々デビューし、やはり精錬されたバンドサウンドでミュージシャンのテクニックも今以上のものがあります(当時はそんなにテイク取れないですから)。これは主に70’s〜80’sの話ですがそれ以前で目に付くのはボブディラン やザ・バンドのようなニューヨークに上京して活躍していたミュージシャン達です。都会ですから様々な情報に触れることができ、器用で上手い人が多い、という印象です。その一方クセが少ない人が多い印象です。南部やカナダ、大陸中からミュージシャンが集まってきていたので色んな色を混ぜて色のない色になったという感じなのでしょうか。東京と似たような印象も受けます。

ナッシュビル

さて東部で特徴的なのが先にも述べたナッシュビルという街です。人口はそこそこの都市なのですが、今では様々なレーベルや録音スタジオが集まっていて、ニューヨークに次ぐ全米2位の音楽産業の街となっています。元々はカントリーミュージックのメッカとして音楽文化が栄えていました。その影響もあってか70’sくらいまでのナッシュビルの音楽の特徴は何と言ってもアコースティックサウンドです。

また70年代前後では様々なアーティストがここに移り住んで音楽製作に勤しみました。キャロルキング、ジャームステイラー辺りのシンガーソングライター系のアーティストが入れ替わり立ち替わり住み着いては当時の名盤を録音していきました。サウンドの特徴としては掘っ建て小屋のような家を改装した、もしくは家に録音機材を持ち込んだような環境で作られている為ニューヨークの完全にデッド(反響がない)なスタジオのような音ではなく、いい具合にリビングで録音したようなリラックスした雰囲気をそのまま録音している点が挙げられます。アコースティックギターの音と柔らかいリラックスした暖かな音が当時のナッシュビルの特徴といえます。時代が経つにつれ最新鋭のスタジオが出来そのような雰囲気は失われていきますが、今でも都会的ではなく自分たちの音を追求するバンドサウンドを生み出すのが得意な街のように思います。ナッシュビルは巨大音楽都市になってますので現代までの変遷を書くととんでもなく紙面を割くことになりますので折に触れ時々お話ししようと思います。そこまで詳細な歴史をミュージシャンが知っている意味はないと思います。

アコギのいい音や、アコースティックなロックの要素を自分の中に取り入れようとするなら間違いなく原点となるようなサウンドですので70’sまでのナッシュビルのサウンドは知識ではなく、感性の一部として習得しておかなければいけません。これがアメリカのロック、レコーディングの大きな違いにも関係してきますので重要です。日本人のアコギが外タレと全然違う理由にもなります。

アコギとロックについてはまた別の機会にお話ししようと思っています。

 

とりあえず長くなったので今回はここまでにしようと思います。

こうやって調べながら執筆するとどんどんディープな話になってしまって長編小説くらいの文量になりそうですw

次回は中部、南部、西部をざっとさらえたらいいなと思います。

 

読んでくれてありがとう。

僕はこう思う。

Taiyo Haze


・ロックの伝承と手引き ~リスニング編 - 1 Roots~ - Carry on the Rocks & Sprit 1 Roots -

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