エイリアシングノイズ

今回は少しマニアックな内容になりますがデジタルをより深く知りたい人は是非最後まで読んでみてください。特にサンプリングレートのイメージを掴む事ができるように執筆していきます。

CDの規格の項目でサンプリング定理のことを紹介しました。測定する周波数の2倍以上の周波数でサンプリングしないと正しく記録できないというものでした。サンプリング周波数の半分の周波数をナイキスト周波数と言いますが、まぁ、この言葉は覚えなくていいでしょうw

人間の可聴周波数が理論上20kHzなのでその原則に従いCDの規格は少し余裕を見て44.1kHzになりました。もし、2倍以下の周波数でサンプリングするとどうなるのでしょうか? イメージでは音がぼやけるみたいな現象が起こるのでは? と思います。

もし必要な周波数の二倍以下の周波数でサンプリングするとエイリアシングが起きノイズが混入してしまいます。折り返し雑音とも呼ばれます。普通の楽器や音声の入力信号にはもちろん人間の可聴周波数以外の周波数も含まれています。可聴周波数外のエイリアシングノイズは可聴周波数に折り畳まれます(関係ないところへ混入する)。ですから音をデジタル化する際に入力信号をそのままサンプリングしてしまうと音がぼやけるのではなくただのノイズが混入してしまいます。

それを防ぐ為に、実務的にはレコーディング機器の方でサンプリングする前にサンプリング周波数の半分(ナイキスト周波数)より上の周波数をカットしているのです。これがアナログレコードをはじめとするアナログレコーディングとの大きな違いです。アナログは電気信号をそのまま波形として収録します。アナログにも限界はありますがどちらが自然に近いかといえば一目瞭然です。

サンプリングレートのイメージを掴む

言葉だけで説明すると何か数字上、理屈の処理でユーザーには関係ない領域のように感じてしまいます。しかし、これを理解するとサンプリングレートを上げることが音質にとってなぜ有効なのかが深く理解できます。その理解は自分のレコーディングを行う時適切に音質改善へのアプローチに繋がります。ですのでサンプリングの基本的なイメージからエイリアシングノイズについて、少し違った角度の例をあげながら説明していこうと思います。

例 指をサンプリングする

それではここでは仮に5本の指をサンプリングする事を考えます。指がどのようなものであるか(指の情報)を点でサンプリングし、紙に転写する事が目標です(図−1)。指の完全なサンプリングを目指しますが、指の長さがわかれば「これは指である」と認識できるというルールにします。ですから一番知りたい情報は指の長さです。また、知りたいのは指の情報ですので爪や皮膚感などの細かい情報はカットしておきます(フィルタリング)。

図−1

5本の指をサンプリングする場合、5Hzの周波数をサンプリングすると例えられます。まず5本の指なら5Hz(5点)のサンプリングレートで十分ではないか? と単純に考えて5Hzでサンプリングしてみます(図-2)。

図−2

すると紙には指先の5つの点だけが現れます。しかし、これだけの情報では指の長さを知ることは出来ませんし、これが指なのかさえわかりません。全く情報としては役に立たないのでこれはノイズになります。

次にサンプリングレートを少し上げて8Hzでサンプリングしてみます(図-3)。今度は確かに点の数は増えましたが、繋げてみると全然指のように見えません。この情報はノイズです。これが折りたたみノイズという現象です。指の途中などにデータが混入してデータを見る人をただ惑わせるだけです。

指の長さを知るには最低5つの指先と5つの指の根元の情報が必要だとわかってきます。

図−3

それでは今までの過程を踏まえて10Hzでサンプリングしてみましょう(図-4)。10箇所サンプリングすることで5つの指先と5つの指の根元にサンプリングポイントを置くことが出来ました。これで指の長さを認識することが出来ます。データとしては有効ですのでノイズにはなりません。しかし、指の長さだけで指を知ったと言うには少し心許ない気にもなります。もし、もっと詳細な情報が欲しければ15Hz、20Hzとサンプリングレートを上げていけば(オーバーサンプリング)より正確で詳細な指の情報を得る事が出来ます。

図−4

ざっとこれがエイリアシングノイズのイメージです。CD規格の44.1kHzだと人間の可聴周波数の20kHzがギリギリ認識できるサンプリングレートだとわかります。実際20kHzが基音の音なんて存在しないに等しいですが、10kHz以上の周波数がてんこ盛りの音源は結構耳が痛い感じがします(デジタルプラグインのマキシマイザーでは簡単に可能だ。たしかに目立つが、、)。それは自然界では通常高域は自然に減衰するという原理に反している、自然な音に人間が慣れているという生理的な理由と、もともとデジタルで十分再現できない周波数の音を無理やり上げているという事もひとつの理由です。

楽器の中には8kあたりまでしっかりある音源はあります。そういう音源になると44.1kHz以上のサンプリングレートでレコーディングする恩恵をもろに受けることになります。サンプリングレートをあげる恩恵は高周波帯だけではありませんが、オーバーサンプリングする大きな理由のひとつになります。それにはこのようなエイリアシングノイズの原理が関連していると頭の片隅に置いておいてください。

 

Column② : サンプリングのイメージを掴む エイリアシングノイズ

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